式　辞

　歴史と伝統のある陶小学校校区にも春が訪れています。特産品の桃の花が少しずつ咲き始め、校庭の桜がつぼみを膨らませている様子を見ると、時の流れが着実に前へ前へと進んでいることがうかがえます。まもなくこの地域一面に咲き誇る美しい花々は、ここにいる大勢の方々と共に、卒業生の皆さんの前途を祝してくれることと思います。

　本日ここに、小牧市立陶小学校第三十九回卒業証書授与式を挙行するにあたり、小牧市教育委員会から健康生きがい支え合い推進部次長の落合健一様、上末・下末・高根の各地域の区長様を初めとするたくさんの来賓の方々、そして多数の保護者の皆様にご臨席賜り、誠にありがたく、御礼申し上げる次第であります。

　二十八名の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。いよいよ「旅立ちの日」がやってきました。

　さて、皆さんを初めて見たのは、本年度はじめの四月五日、入学式準備の日の朝です。学校へ向かって上がっていく車の中からふと歩道を見ると、笑顔で会釈する黄色の帽子をかぶった女子児童の姿がありました。最高学年の初日の姿を目の前に心が明るくなったこと、何か前向きな気持ち、それ以上に希望を感じたことを覚えています。

　全校での朝会がある時は、他学年の子たちが体育館に来る前に、みんなでサッと会場の準備をし、会が終わると瞬時に役割分担をして片付ける姿に感心したことも心に残っています。
　朝の登校時には、少々尻込みしている下級生に「あいさつは自分からするんだよ」と声を掛けながら見本を示す姿、怪我をしている低学年の子を優しく保健室へ連れて行く姿、今年一月一日の能登の大地震で被災された方々のために全校に呼び掛けて募金活動に取り組んでいる姿、陶っ子みんなが仲良くなれるよういろいろな遊びを取り入れた仲良し放課をリードする姿など、みんなのために活動し続けたあなたたちの思いや行動は、ここにいる在校生の心にも刻まれ、引き継がれていくものと思います。

　次に、別の視点からみなさんの良さを取り上げてみます。それは、自分たちをかけがえのない大切な仲間とわかっているということです。
　修学旅行では、お互いに「みんなのことが大好きなんだ」、「本当に大切なんだ」ということを言葉と行動で表していましたね。日々の生活の中でも困っている仲間がいるとそっと励ますことが当たり前になっていましたね。卒業式の練習の中で、互いの失敗を決して馬鹿にせずさりげなく補い合う様子は、私が最も印象に残っていることの一つです。

　このように周りの人との関わりをいつも大切にできるまでに成長した跡が見られるのは、この仲間があったからこそであり、さらに一年生からずっと指導してくれたたくさんの先生たち、そして何よりあなたのことを常に一番大切に思い続けてくださったお父さんやお母さん、また温かいおじいちゃんやおばあちゃんのおかげです。
　もう一つ心に留めておいてほしいのは、この陶小地域の皆様のおかげです。お聞きしたり調べたりしていると、ここは、大昔から互いを大事にし合う思いやりの地域だということがわかります。支えてくださっている地域の皆さんに感謝するとともに、是非この良き伝統を引き継ぎ、自信をもち、胸を張って次の大きなステージでもがんばってほしいと思います。

　終わりになりましたが、保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。昨年のまで約三年にわたり、コロナ禍に見舞われ、多くの制約を受けた日々が続き、教育活動も規模縮小や予定変更を余儀なくされる中、多大なご理解とご協力を賜りました。改めて感謝申し上げます。皆様のお支えがあって、子供たちは、今日の晴れの日を迎えることができたと思っております。本当にありがとうございました。
　前を見通すことが困難なほど変化の多いこの時代だからこそ、変わらず大事にしたいものをこの先も守りつつ、いつまでもお子様の成長を温かく見守っていただきますようよろしくお願い致します。

　では卒業生のみなさん、今日は最後の最後まで、みなさんらしく大事な仲間と支え合い、力強く羽ばたいていってください。
　以上、心よりみなさんを応援し、式辞と致します。

　　　　令和六年三月十九日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小牧市立陶小学校長